【世界の文字】読むのが難しい文字3選

2021年6月30日水曜日

言語色々 文字

t f B! P L

出典:Distribution of World Writing Systems (Reddit)

世界には国の公用語レベルで使われている文字は30種類ぐらいあり、少数民族の言葉などを含めると更に多くなります。

僕は一時期、色々な文字を読めるようになりたいと思っていたことがあって、20種類ぐらい文字を勉強したことがありました。
ものによっては少し忘れてしまったものもあります。

色々な文字を勉強してみると、覚えること自体が大変な文字もあれば、文字を覚えてもすぐに音に結びつかないものもあり、結構難しい文字が多いんだなと実感しました。
そこで今回は、僕の独断と偏見で、読むのが難しい文字を勝手にランキングしてみました。

ちなみに、世界的に見ると最も難しいのは漢字だと思いますが、日本人は慣れている文字なので今回は除外しています。
また、ローマ字(ラテン文字)も使われる言語によっては文字の種類が多かったり、綴りと読みにギャップがあったり(英語とか)読むのが難しいこともありますが、範囲が広すぎるので今回は除外しています。

勝手にランキング 世界の難しい文字 Top 3

  • 【3位】アラビア文字
  • 【2位】タイ文字
  • 【1位】チベット文字
  • 【特別賞】モンゴル文字

【3位】アラビア文字

アルファベット(ローマ字)に慣れている人にとっては、アラビア文字はパッと見読めない文字の代表格かもしれません。

実は、アラビア文字は、文字を覚えるだけであれば楽な部類に入ります。
文字の種類は28種類の文字しかなくて、アルファベットより2文字多いだけです(アラビア語以外だと文字が足されてもっと多いこともある)。
むしろ、似ている形の文字も多く(点の数が違うだけ)、英語の筆記体よりも楽かもしれません。
常に筆記体で書かれているのと、右から左に向けて書かれるため、文字の実際の難しさ得体のしれない感じがするのかもしれません。

問題は、文字を覚えてもすぐには読めないことなんです。

実は、アラビア文字には子音用の文字しかありません。

本当は母音を表記するために文字の上下に書く小さい記号があるのですが、ごちゃごちゃして美しくないということで書かれないことが多いんです。
(アラビア文字を使う言語の中でも、ウイグル語やクルド語のように、必ず母音を書く言語もありますが。)
そうすると、文字自体は読めるけど、発音はできないし、意味もすぐには分からない、という状況になることがあります。


左側は母音記号なし、右側は母音記号ありです。

具体例

例えば、こればアラビア語でm-l-kと書いてあります。

この単語は、malik (王)、mulk(支配)、milk(財産)、malak(天使)、malaka(支配する)
と色々な読み方ができて、文脈がないと意味が分かりません。

アラビア語では、2つ~4つの子音のセットが意味を持っていて、間の母音が変わることによって関係のある色々な単語に変化するというシステムがあります。
さっきのm-l-kも、どの単語も意味は似通っています。
そういう面では文字に母音を書かないことは合理的だとも言えるんですが、初学者にとってはキツイと思います。

【2位】タイ文字

僕が今まで勉強した文字の中で、ちゃんと読めるようになるまで一番時間がかかったのがタイ文字です。

まずタイ文字は種類が多くて、子音は44種類あって、と母音と合わせると60種類ぐらいの文字があります。

ただ、タイ語にそれだけの種類の音があるかというと、そうではありません。

東南アジアの文字は大体そうなのですが、元々タイ文字はインドの文字を真似て作られています。
インドの文字はサンスクリット語など、タイ語と比べて音の種類が多い言語用に作られています。
タイ文字は、インド系の文字を真似て作られたことに加え、サンスクリット語やパーリ語などで書かれた仏典もそのまま書けるようにするため、文字の数を減らさずに作られたと思われます。

 

例えば、この4つの文字は全部同じ"s"の音です。厳密には、声調が違うのが1つだけ入っていますが。

そもそも文字の数が多くて覚えづらいのに、同じ音の文字がいっぱいあるので、つづりを覚えるのが最初のうちはきついです。

声調の表記

更に読み方を難しくしているのは声調の存在です。

タイ語には声調が5つあります。

同じように声調があるベトナム語では、声調ごとに決まった記号が母音に付きます。
ただ、タイ文字には無駄な遊び心があり、同じ声調記号が付いても、元の文字の種類によって声調が変わるのです。

声調の変化の仕方によって文字は3種類に分けられますが、どの文字がどの種類で、種類ごとに記号が付いたときにどう成長が変わっていくのか、いちいち覚えないといけません。

他にも難しい点

こまごまとしたところですが、更に難しい点がいくつかあります。

  • 単語の最後にあると文字の発音が変わる
  • 子音の文字が母音として使われる場合がある
  • 単語が区切られない

大量の文字を覚えて、声調の細かいルールを覚えてしまえば、タイ文字の発音は規則的なので、ある程度慣れれば一気に楽になります。

ただ、文字の発音が単語の中の場所によって違うのに、単語が区切られないのは初学者にとってはムチャクチャキツイです。

 

もしかしたら、タイ文字の覚え方に関してまたどこかで記事を書くかもしれません。

【1位】チベット文字

個人的に一番読みづらい文字はチベット文字です。

チベット文字もインド系の文字の流れを受け継いでいますが、タイ文字と違って文字の数は少なくなっており、30文字程度です。

文字の数は少なめなのですが、書いてある文字と読み方の間にギャップがありすぎて、難しいです。

具体例

例えば、チベット語でのあいさつ:

これをそのままローマ字にすると、
bkra shis bde legs
発音すると タシデレ になります。

 

「月」は

zla ba
ダワ と読みます

なんでそうなるのか意味が分かりません。

厳密には、子音の組み合わせでどう音が変化するか細かいルールがあるのですが、例外もよくあります。
しかも、チベット語もタイ語のように声調があり、子音の組み合わせによって声調が変わったりします。

 

なんでこんな状況になっているかというと、どうも9世紀ごろから単語の書き方は変わっていないらしいです。
どうも、昔は本当にbrkrashisbdelegsみたいに発音していたらしいですが、チベットの中心地ラサの発音は時代とともに簡略化されていきました。
発音がどんどん変化しているのに正書法が昔から変わっていないため、ギャップができてしまったからみたいです。

もはや単語の書き方を発音に合わせていってもいいような気もしますが...
チベット語の方言によっては単語の書れ方に近い発音をするものもあるみたいで、すべての方言に合うような改定っていうのは難しいようです。

【特別賞】モンゴル文字

Top 3に入るかは迷ったけど、チベット語と同じような感じで読みにくいのがモンゴル文字なので、最後にちょっと言及します。

モンゴル語を書くのに使われている文字は、現在2種類あります。
外モンゴル(モンゴル国)で使われている拡張版キリル文字(ロシア文字・左)と、中国の内モンゴル自治州に住むモンゴル人に使われているモンゴル文字(右)です。

モンゴル文字は、アラビア文字のように筆記体で、単語内の場所で文字の形が変わります。
そのため文字の数を数えるのは難しいですが、大体20種類ぐらいです。
母音はアラビア文字と違って表記されますが、場合によって a と e が同じ文字によって表されたりと、曖昧な部分があります。
ちなみに、縦書きで、左から右へ書いていくというかなり珍しい文字です。
これは、元々アラビア文字由来の文字を、漢字の影響で90度回転させて無理やり縦書きにしたから、らしいです。

 

さて、キリル文字はほぼ書いてある通りに読めるのですが、モンゴル文字は違います。

例えば、モンゴルの首都

Ulagan Bagatar
ウラーンバータル

 

「羊」

imaga
ヤマー

 

「その後、それから」

chinggiged
テゲード

 

最後のとか意味が分かりません。

これも、チベット語のようにチンギス・ハーンぐらいの時代から単語の書き方が変わっていないから、らしいです。

現在、モンゴル国では比較的表記通りに発音されるキリル文字が使われています。
しかし、モンゴル国民にとって伝統的なモンゴル文字はやはり大切だ、という風潮もあり、モンゴル国でも今後モンゴル文字を復活させようという動きがあります。

そのための法律も通っており、2025年までにはモンゴル国政府の書類はキリル文字とモンゴル文字両方で作成されるようになるみたいです。
gogo Mongolia: Mongolian Language Law is effective from July 1st

終わりに

以上が、僕の考えた読むのが難しい文字 3 (+1) 選です。

文字自体が難しい、というよりは発音との乖離が多い文字が個人的には難しいと感じます。
結局文字を覚えてもすぐには読めない、というのは学習者によっては結構キツイことだと思うからです。

というか、ここには書きませんでしたが英語も大概ですよね。
Throughとenoughとthoughとploughで、"ough"の発音が全部違うって意味が分かりません。

ただ、読めるようにするために文字を改定した方が良いのかというと、必ずしもそうではなさそうです。
同じ書き方でも方言によって読み方が変わったり、書き方を変えたら語源が分かりにくくなってしまう場合があったりと、読みにくい文字をわざと使い続けていることにも意味があるからです。

文字を勉強することだけでも、言語の歴史が垣間見れたり文化的な事情が分かって来たりということがあるので、結構奥が深いです。

 

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