外語大の無料の言語学習資料が使える!

2021年8月23日月曜日

資料

t f B! P L

ご無沙汰しています。しばらく更新が滞ってしまいました。
オリンピックを見て盛り上がっているうちに本病の進みが遅くなってしまい、そちらの方にしばらく集中していたら、前回の記事からこんなに時間が空いてしまいました(汗)

さて、今回は外語大が無料で提供している外国語学習用の資料について書かせていただきます。

東京外語大言語モジュールについて

8月の頭に、yahooニュースでこのような記事が出ていました。


実は、アラビア語やモンゴル語などの勉強で、僕も以前から記事で紹介されているサイト(東京外国語大学言語モジュール)のお世話になっていました。
あの東京外語大が、26の言語の学習資料を、無料で、音声付きでまとめてくれています。
ネット上にある外国語の資料の中でもかなり良いと思うので、紹介させてください。

内容について

東京外国語大学言語モジュールでは、26の外国語(+日本語)の学習資料がまとまっています。

メインの内容は、以下のような会話のビデオ+テキストです。
挨拶、買い物などのシチュエーション別にスキットが用意されています。
言語間でスキットの種類は統一されています。

また、会話のビデオと別に、言語間で統一された音声・例文付きの単語帳や:

初級文法をまとめたページなどがあります。

文法のページは、メジャーな言語ではレベル別になっていて、レベルによって細かさが変わっています。
例えば、中国語では「実力養成」「基礎固め復習」「中国語に触れる」に分かれています:

文法のポイントが簡潔に項目ごとの「カード」にまとまっていて:

「カード」ごとに詳しい解説や例文が付いています:

独自の文字を持っていたり、発音が難しい言語については、発音学習用のページも付いています。

このような形で、各言語の会話、単語、初級文法を勉強できるようになっています。

良い点

まず、これだけのものを、無料で公開していただける東京外語大は、むちゃくちゃ太っ腹なんじゃないでしょうか。

メジャー言語はもちろん、トルコ語、インドネシア語、モンゴル語なども十分な説明がついており、基本的な文法はこれだけで大分押さえられるようになっていると思います(自分もこれらの言語でお世話になりました)。
これだけで単語・文法が全部わかる、という程ではさすがにないですが、基本を押さえる知識としてはたぶん申し分ないので、面白そうな言語を一通り勉強してみて、更に興味が湧いてくる言語があったら、実際に詳しい本を買ってみる、という感じで、良い導入になるのかな、と思います。

嬉しいのは、言語によって方言別に分けてくれているところです。
例えば、中国語は地域別の標準語(北京、蘇州、台湾)ごとにスキットがあります:

他にも、英語だとアメリカ・イギリス・オーストラリアなど、
フランス語であればフランス・カナダ・スイス、
アラビア語では標準語・エジプト方言など、
といった感じで、複数の国や地域で話されている言語は、方言別にスキットや単語を用意してくれています。
 メジャーな言語でも、複数の方言の資料は中々ないので、かなりありがたいと思います。

改善してほしい点

無料で資料を見られるようにして頂いている状態で大変生意気なんですが、改善してほしい点はいくつかあります。

まず、文法に関しては例文が少なめのことが多いです。
文法を解説するために必要最低限の用法を挙げている感じなので、慣れて覚えるには、単語を調べながら自分で例文を作る、とかいうことが必要になるんじゃないかと思います。

また、言語によってはまだ資料が少ないものがあります。
上に書いたような文法の資料がある言語は26のうち19言語で、単語帳が備わっているものは21言語です。
例えば、チェコ語などは現段階ではスキットのみで文法の解説などはありません。
単語は文法事項は、自分で別途調べないといけないような状態です。

ただ、これはおそらく今後改善していただける可能性が高いんじゃないかと思います。
例えば、以前はカンボジア語の文法解説は無かったと思うんですが、今は例文・音声付きで詳しい解説が付いています。
もしかしたら、各言語で今後随時拡張されていくかもしれません。

最後に、レイアウトの問題で、どこになにがあるか分かりにくいことがあります(リンクが分かりにくい、など)。
コンテンツはかなり良いので、インターフェースの細かいところが良くなれば、もっと人気が出るような気がします。

東京外語大が出しているその他の資料

上で紹介したページが東京外語大が出している資料で一番メジャー+まとまっていると思いますが、他にも一般に提供してくれている資料があります。

アジア・アフリカ言語文化研究所


ここでは、アジアアフリカ言語文化研究所というところの言語研修で使用した資料を公開してくれています。
アジア、アフリカのマイナー言語を中心に、色々な言語の会話集、語彙集、文法書をpdfで公開しています。
ベトナム語中級テキスト、マレー語中級テキストのようにメジャー気味な言語もありますが、
アムハラ語、トゥヴァ語、アムド・チベット語など、日本語の資料がかなり珍しい言語もあります。
テキストのみ(音声がない)という点では少しやりづらいかもしれませんが、マイナー言語の資料を日本語でまとめてくれており、しかも無料で公開しているのは鼻血ものです。

タイ語やベトナム語の中級者向けのpdfもあるので、最初に紹介した言語モジュールの後に見てみると良いかもしれません。

東京外国語大学オープンアカデミー


東京外語大は、一般向けの市民講座もやっています。
元々は外語大のキャンパスでやっていたようですが、コロナの影響で今は完全オンラインとなっているようです。

これも見ていただくと、42言語、121講座というかなり力強いラインアップです。
メジャー言語はもちろんのところ、クルド語、マルタ語など中々日本語の学習資料を手に入れにくい言語もやっているようです。

さすがに市民講座は有料ですが、日本語の資料が希少な言語を、音声あり、教師ありで学べるというのはものすごい体験じゃないでしょうか。
お金に余裕があって、決まった曜日・時間にオンラインで授業を受けられる、という方は、是非考慮してみてください(僕は未体験です...)。

大阪大学も資料を出している!

東京外語大が世に出している資料に関して書いてきましたが、実は大阪大学(以前の大阪外国語大学)も似たようなサイトを作ってくれています。


19言語(+日本語)の資料が載っています。東京外語大のページと比べ言語は少ないですが、東京外語大のページにない言語(デンマーク語やインドのマラーティー語など)も載っています。

東京外語大が言語の間でフォーマットが統一されていたのに対し、阪大のページでは言語毎にフォーマットが違います。
多いパターンは、スキットの動画に文法・語彙解説用のpdfやページが付いているといった形です。

東京外語大と比べてレイアウトがパット見ちょっとわかりにくいのですが、解説ページ・pdfはかなりしっかりしています。
東京外語大のように文法、語彙、スキットが完全に分かれているのではなく、スキットの解説として一緒に文法、語彙が出てくる言語が多いので、こっちの方が学習しやすい、という人もいるかもしれません。

最後に

今回は、一時期twitter→ネットニュースで話題になった外語大の語学学習のページについて書きました。
自分も実際に使わせていただいたことも多いですし、色々な言語に関しての資料をこのようにまとめてくれているのはかなりありがたいです。
知らない言語を勉強してみたい、という方は、是非覗いてみてください。

QooQ